ブラスト加工は金属の表面処理の1つで、研磨材を製品に打ち付けて処理を施します。
しかし、この加工によりどのような機能が付与でき、何のために使われるのか疑問を持つ方も多いかと思います。
そこで今回の記事では、金属へのブラスト加工における機能面について触れていきます。
ブラスト加工とはエアーの圧力でメディア(アルミナやガラス、金属など)を吹き付け金属表面に効果を与える手法です。
非常に古くからある技術ですが、装置構造も多種多様でブラスト単体処理から複合化処理まで、性能に合わせて変化します。
一番よく耳にするのは「錆落とし」かと思います。
近年は錆落としをレーザーによるクリーニングで行う手法や、ドライアイスをぶつける手法も紹介されています。
これは、ブラストの最大の問題点である、メディアの飛散が関係しています。
周囲へ吹き付け跳ね返ったブラストメディアはあらゆる方向へ飛散し、
どれだけ集塵機で捕獲しても砕けた細かいメディアは除去できません。
それゆえに新たな手法が開発されています。
しかし、過去からの技術が蓄積されたブラストによる機能面の向上はそれを凌駕するような特性を付加できます。
ここからは、過去の事例を含めてご紹介いたします。
この機能は表面の錆を削り落とすことで、錆を除去するとともに表面粗さを増加させ、次の処理工程である塗装の密着力の向上をはかるものです。
また、真空装置内にある防着板というコンタミを捕獲するプレートがありますが、真空堆積を続けることで捕獲されたコンタミが溜まります。
そこをブラストで剥がしながら、元に戻し、さらに表面粗さを所定の荒さに戻すことで、残留ガスの除去やコンタミの捕獲性能復帰などの効果を与えます。
鍍金やアルマイト処理のつきまわりをよくするために、表面の荒さを制御する事があります。
鍍金やアルマイトで覆われて見えなくなりますが、表面を所定の表面粗さに制御することで、均質な品質を確保できます。
このように、ブラストによる表面粗さの制御は金属の機能を向上させています。
加工された金属の溶接部分へブラストを施すことにより外観の向上を図ることができます。
また、煌めく金属を加工したものにブラストを行うことで白銀色の美麗な金属となります。
このブラスト装飾後に金メッキなどを行うことで幻想的な装飾品を提供する事が可能となります。
また、所定部分のみをブラスト加工することで輝きと反射低減など混在させ、機能を付加する事が可能となります。
熱は熱伝導率と表面積の大きさが大きく関係します。
それゆえに、ブラストで微小な凹凸をいくつも作ることで放熱性の向上を図る事が可能となります。
金属表面へのブラスト加工により、光の反射や熱反射などをコントロールする事が可能です。
この金属に対する性能付加技術の用途はエレクトロニクス装置だけでなく、車両や輸送機器、建築など幅広く使用されています。
今回は金属への機能性付加技術として、ブラスト技術を取り上げ、代表的な用途もご紹介いたしました。
今後、このブラスト処理後への更なる追加性能向上で新たな性能を得た事例なども紹介していければと思います。
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