汎用ステンレス鋼(はんようステンレスこう)とは、日常生活から産業用途まで幅広く使われている、最も基本的で扱いやすいステンレス鋼のことです。
その名のとおり汎用性(多目的に使える)に優れ、加工のしやすさ、見た目の美しさ、適度な耐食性をバランスよく備えた素材です。
主な特徴
- サビにくい:鉄に比べてはるかに耐食性が高く、水や湿気に強い
- 美しい光沢:表面仕上げによって鏡面やヘアラインなど多様な見た目が可能
- 加工しやすい:曲げ・溶接・切断などの加工がしやすく、製品化しやすい
- コストパフォーマンスに優れる:性能と価格のバランスが良い
主な使用用途
汎用ステンレス鋼は、以下のように身の回りのさまざまな場所で使われています。
- 住宅設備:流し台、蛇口、換気フードなど
- 家庭用品:やかん、フライパン、包丁など
- 建築:手すり、外装パネル、ドア金物
- 産業機械:食品加工機器、配管部品
- 輸送機器:車両や電車の内装、外板など
よく使われる汎用ステンレス鋼の型番(鋼種)
SUS304(JIS規格)
- 特徴:最も一般的に使用されるオーステナイト系ステンレス鋼。クロム(Cr)とニッケル(Ni)をバランスよく含み、耐食性・加工性・溶接性に優れる。
- 用途:キッチン用品、家電、建築金物、車両部品、タンク、配管など。
SUS430
- 特徴:フェライト系ステンレス鋼で、ニッケルを含まないためコストが安い。SUS304よりやや耐食性は劣るが、磁性があり、成形しやすい。
- 用途:キッチンの背面パネル、家庭用器具、自動販売機の外装、店舗什器など。
汎用ステンレス鋼は、「ステンレス」と聞いてまず思い浮かべるようなスタンダードな素材で、性能とコストのバランスが良く、幅広い分野で活躍しています。
SUS304をはじめとした汎用ステンレスは、日常生活の中でも非常に多く使われており、私たちの暮らしを支える身近な金属素材です。