ある日、インテリアデザイン事務所様から
「落下しても割れない、安全でおしゃれな鏡を作りたい」
というご相談をいただきました。
一般的なガラス鏡では安全性に課題があり、また、展示空間やホテルなどに設置する際に軽くて扱いやすく、しかもデザイン性の高い鏡を求めておられました。
そこで当社では、ステンレス鏡を素材に用いた超軽量ミラーの製作を提案しました。
今回の鏡は、単なる四角や丸ではなく、独自のフォルムを持つデザイン性の高い形状が求められました。
また、鏡を支える台座にも付加価値を持たせたいとの要望があり、構造から再設計を行いました。
背面からの固定ではなく、首のように伸びたデザイン部分に引っ掛け構造を組み込むことで、壁に薄く、スタイリッシュに取り付けられる軽量鏡を実現。
ギリギリまで板厚を薄くし、強度と解像度のバランスを最適化しています。
「軽いのに、しっかり映る」——この相反する要件を両立する設計が、このプロジェクトのポイントでした。

製作では、周囲のレーザー切断と曲げ加工を中心に進めました。
ただし、通常の金属加工と異なり、今回は“鏡としての反射品質”が求められるため、加工前の段階から入念な鏡面形成と表面管理を行う必要がありました。
微細な傷や打痕でも映り込みの品質に影響が出るため、工程ごとに養生とクリーニングを徹底。
特に曲げやヘミングの際には、鏡面を保ちながら形状を保つ高精度な加工が求められました。
また、鏡を壁に引っ掛けるための金具部分には、特殊なヘミング加工を採用。
素材の薄さと形状の美しさを両立させるため、試作を重ねながら精度を追求しました。
苦労の末、軽量・安全・美観を兼ね備えた構造を実現しています。


完成した鏡は、金属ならではの上品な光沢と、まるで浮かんでいるような軽やかな存在感を持ち、安全性とデザイン性を両立したインテリアアイテムとなりました。
展示空間だけでなく、ホテルやオフィス、住宅にも導入可能な仕上がりで、「割れない鏡」として新たな可能性を感じさせるプロジェクトとなりました。
本事例のように、当社では安全性・デザイン性・加工精度を兼ね備えた金属製品の製作を得意としています。
ステンレス鏡をはじめ、空間デザインや什器製作など、お客様の構想段階から試作・量産まで一貫してサポートいたします。