ステンレス鋼の曲げ・成形加工は、ステンレスの特性を理解し、適時適切な手法を用いることで、効率的かつ高精度に加工を施す事が可能です。今回は、ステンレス鋼の曲げ・成形加工について具体例とともに詳しく解説します。
ステンレス鋼の曲げ加工には、ブレーキプレス、ベンダー、ロールなどが一般的に使用されます。また、ハンマーや拍子木などが用いられることもあります。
ステンレス鋼の曲げ加工に際しては、スプリングバックという特性を理解することが重要です。
スプリングバックとは、金属に曲げ変形を与えても、加えていた外力を除くとともに戻ろうとする弾性のことを指します。ステンレス鋼の場合、このスプリングバックが他の金属建材よりも大きいため、曲げ加工に際しては、曲げ角度が不足しないようにあらかじめ型の角度を2~3度シャープにしておく必要があります。
ステンレス鋼の成形加工性は、その種類により異なります。
例えば、SUS 304は加工性が良好で、曲げ加工や深絞り、張出し成形などの厳しい成形加工も容易に行うことができます。しかし、SUS304は加工硬化性が大きいため、加工の際の圧下力は他の金属よりも大きくする必要があります。
一方、SUS 430は引張強さが低く、伸び性も少ないため、SUS 304に比べて深絞りや張出し成形などの厳しい成形加工には適していません。また、溶接性もSUS 304に比べて劣ります。
ステンレス鋼の成形加工には、曲げ加工、突曲げ、ロール曲げ、せん断加工、切削加工など、さまざまな手法が存在します。ステンレス鋼を効果的に加工するためには、ステンレス鋼の特性を理解し、適時適切な手法を選択することが重要です。
例えば、ステンレス鋼は硬く、靭性に富んでいるため、せん断加工には大きな力が必要となります。特にオーステナイト系ステンレス(SUS304や SUS 316等)は、軟鋼に比べて約1.5倍のせん断抵抗を示します。したがって、打抜き機械の能力選定や切刃の損耗、クリアランスの取り方などについて十分な注意が必要です。
また、ステンレス鋼の切削加工は、軟鋼や銅、アルミなどと比較して容易ではありません。特にSUS 304などのオーステナイト系ステンレスは、加工硬化が大きく、靭性に富み、熱伝導率が悪いため、切削面の仕上げ、切屑処理、工具の摩耗などに十分な注意を払いながら作業を進めることが重要です。
以上のように、ステンレス鋼の成形加工は、その特性を理解し、適切な手法を選択することで、効率的かつ効果的に行うことが可能です。これらの知識を活用し、ステンレス鋼の成形加工に取り組んでみてください。
ステンレス鋼の成形加工について詳しく解説します。ステンレス鋼は、その特性を理解し、適切な手法を選択することで、効率的かつ効果的な成形加工が可能です。以下に具体的な例を挙げて説明します。
ステレス鋼の曲げ加工では、プレスブレーキ、ベンダー、ロールなどの機械を使用して行います。ステンレス鋼の特性として、「スプリングバック」という現象があります。スプリングバックは、金属が曲げられた後、元の形状に戻ろうとする力のことを指します。ステンレス鋼のスプリングバックは他の金属よりも大きいため、曲げ加工時には型の角度を2〜3度大きくしておく必要があります。
具体的な例として、90度の曲げ角を作りたい場合、型の角度を88度に設定しておくと良い結果が得られます。また、曲げる際の最小半径も重要となります。SUS 304の場合は180度の密着曲げをしても割れを生じませんが、SUS 430の場合は曲げの内側半径をあまり小さくせずに、板厚の1.0倍以上の半径にする必要があります。
ステンレス鋼のせん断加工では、切断、打抜き、穴あけ、切込み、縁取りなどの加工法を総称します。ステンレス鋼は硬く、靭性に富んでいるため、せん断加工には大きな力が必要です。特に、オーステナイト系ステンレス(SUS304や SUS 316等)は、軟鋼に比べて約1.5倍のせん断抵抗を示します。
例えば、0.6mm程度の板厚のステンレス鋼は、通常の金切りばさみで容易に切断できます。しかし、ステンレス鋼は軟鋼よりも硬いため、切断機の上刃と下刃の間隔(クリアランス)が大きすぎると、切断面が不均一になったり、バリやだれが生じることがあります。そのため、ステンレス鋼の切断には、軟鋼の場合よりも切断機の上刃と下刃の間隔(クリアランス)を小さく設定することが推奨されます。
ステンレス鋼の打抜き加工では、ダイス穴を必要な寸法と形状に仕上げます。このダイス(金型)に比べて少し小さいサイズのパンチ(打撃工具)を用いて金属板を打ち抜きます。パンチと金型の間のこの微細な空間が「クリアランス」と呼ばれ、これが製品の精度と仕上がり品質に大きな影響を与えます。薄板や精度を要する場合は、板厚の2~4%のクリアランスが適当とされています。
ステンレス鋼の切削加工は、軟鋼、銅、アルミなどに比べて加工難易度が高いです。特にSUS 304などのオーステナイト系ステンレスは、加工硬化が大きく、靭性に富みます。加えて、熱伝導率が悪いので、切削加工の仕上げ・切屑処理・工具の摩耗などに十分注意しながら作業を進めることが大切です。
例えば、ステンレス鋼の切削加工における削り角の取り方では、削り角を大きくすると、切屑の工具への溶着が大きくなるため好ましくありません。そのため、高速度鋼バイトの場合、削り角は75度ぐらいが最適とされています。
以上のように、ステンレス鋼の成形加工は、その特性を理解し、適切な手法を選択することで、効率的かつ効果的に行うことが可能となります。
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